シュレミールの小さな潜水艦
ゲーマーは二度死ぬ。一度目は社会人として、二度目は人間として。
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アイ・ドント・クライ・オン・レイニー・デイズ

シュレミールは実戦に恋する戦闘機である。

いつか自分も と思っているうちに年月は過ぎ去り
いつしか 時代遅れの戦闘機になっていった

アラートやCAP、制空任務ではなく戦術支援任務が増え
それに従って 機体には 増加装甲や コンフォーマルタンクが増設され
水膨れした形状は 誰が見ても 制空戦闘機には見えなかった

かつて 実戦配備された直後の
内に殺意を秘めた 機能美といって良い スマートで美しかった姿は
もう どこにも見あたらなかった

仲間の戦闘機には
「そんな重装備で、NORAD(北米防空司令部)の単独爆撃任務でもやるつもりかい?」
などと 言われる有様

新しい世代の戦闘機も出始め
模擬空戦でも負けることが多くなった

もう 機関砲で撃ち合う時代ではなくなったのだ

強力なレーダーと電子機器を持ち
ECMとECCMの電子的な戦闘の末
先に発見した方が AIを搭載した先進的中距離自己誘導弾を発射して勝利する
それが 新しい戦闘の形だった
そこで必要なのは強力なエンジンとレーダー、そして電子機器、ステルス性
多少の機動性の優位など 何の役にも立ちはしないのだった
(もっとも 強力なエンジンとベクターノズルを搭載し 電子制御なしには飛べない静的安定が
負の新型機たちは 加速性 機動性でもシュレミールを圧倒していたのだが)

たまに勝つときも 機体の性能で勝つ というよりは
圧倒的優位な状況から パイロットの戦術と装甲と貫禄で撃ち勝つといった感じだった

後継機の配備計画も囁かれはじめ シュレミールも引退の日が近づいていた

訓練の回数も減り ハンガーで整備されるだけの日が多くなった
整備班長も しきりに機体構造寿命のデータを見るようになった

静的安定をFBWなしに限界まで下げた設計のため
ほかの用途にも転用できず 空軍内でも 使いにくいという評価
引退は 時間の問題だった

そして引退の日がやってきた

1度も実戦を経験することの無かった機体でも 引退セレモニーをしてくれることになった
シュレミールは実戦配備以来の記念ペイントで装い 記念展示飛行を行った
記念ペイントのノーズアートが桜沢いづみということに 若干の疑念を抱いたが
空軍の体質に 疑問を挟める立場でも無いだろう と思い直した

記念展示飛行の最中 思い出されるのは訓練や任務の事ではなく
シミュレーション空戦の事ばかりだった

そこで出会った、数々の、現実では出会うことの無かった敵機たち
彼らを撃墜するため生まれてきた自分
そして 一度も戦うことなく 消えてゆく自分

戦果を残すこともなく 記録を残すこともなく

後継機に、今までを振り返ってどうでしたか、と聞かれたとき
用意しておいた 答えを口にする

「夢のような 人生でした」


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夢の島包囲戦

11月下旬に開始された「夢魔のいたずら」イベントは、普段なかなか見ることの出来ないBossや、
ラストバド城といったモンスターが大量に出現するイベントであった。
(俗に公式MPKイベントとも言うが)
ただ、使用されるMapが橋でつながれた地形の夢の島(略称DI)であるため、当然橋の前で大混雑が発生する。橋の最前面のキャラクタしか戦えない時間が長く、「橋ゲー」「行列イベント」とも言われ、ユーザー間での評価は決して高くはない。

しかしそれでも、12/2(最終日前日)、夢の島水-火付近で行われた包囲戦は、偶然発生した、意図された状況ではなかったものであるが、見知らぬ人々が利害を超えて一致団結した稀有な状況であり、MMORPGの醍醐味の一端を十分に見せてくれるものであった。

夢の島包囲戦(Dream Island Pocket)の経過は以下のとおりである。

23:30、イベント開始の告知があり、DI各地にモンスターが出現を始める。

イベント開始前からDIで待機していた各部隊もモンスターの波の圧力に抗し切れず、ほとんどがその場で全滅した。一部の部隊は奥地で抵抗を続けていたようだ。

一時、DIは完全にモンスター側の支配下に置かれ、再突入も難しい状態となった。しかしプレイヤー側は絶え間なくDIへの突入を繰り返し、2回の総突撃を撃退された後、3回目の突撃で入り口に橋頭堡を確保した。これにより、戦力の逐次投入が可能となった。

風エリアは比較的簡単に制圧が完了した。これは、橋頭堡確保の際、付近のモンスター戦力に損害を与えていたこと、早期に突入路が開通したためであると考えられた。

風エリアではいまだ各地で敵戦力の掃討戦が行われていたが、プレイヤー側主力はすでに地エリアへおよび水エリアへの侵攻を開始していた。シュレミールは水エリア方面集団だったため、地エリアでどのような戦いがあったかはわからない。しかし、戦力的、地形的に苦戦する要素は見当たらない。橋までは順調に制圧していたと思われる。

水エリア方面集団は苦戦していた。ラスタバド系のBossが他者変身を連発するため、戦線が一向に前進しない。特にライアは最悪であった。地形が良くないため(橋)Boxできず、また移動することも出来ない。突入しようにも最前線の支援WIZが動けないから最前線に戦力を投入できない。

多数の戦力を有していながらこれを活用できない、まさに狭隘地形の見本(隘路)である。

しかしそれでも、最終的に水エリア方面集団は水エリアを突破し、
火エリア手前の島に突入を開始した。

このときシュレミールも(弓でありながら)最前面を経験し、エルフでもCPをケチらなければ相当の生存性能があることを確認した。

火エリア手前の島の制圧もほぼ終わり、掃討戦に移る頃、主力は火エリアに向けて進行を開始した。ラスタバド系の敵だったが、Boss級は不在、状況は順調にDI制圧に向け推移していると思われたが・・・。

不意に、AllChatで敵戦力の追加投入を示唆する告知があり、一瞬後、汚れた精霊の大集団がプレイヤー側戦線後方(手前島)に投入された。掃討戦に移っていた部隊は分散していたこともあり、瞬く間に全滅した。主力は橋の上、残った前衛も掃討戦の最中であり、偶然ではあるが、最悪の(モンスター側にとっては最良の)タイミングでの伏撃となった。

汚れた精霊の大集団は魔法を速射砲のように連射し、プレイヤーを次々と蒸発させてゆく。

プレイヤー側は戦線後方を見事に食い破られた形となり、優秀な前衛も支援なしでは長時間は戦えない。また、さらに悪いことにラスタバド側(火エリア側)にも増援があり、ラストバド近衛兵が狂ったように突入してくる。もはや、完全にプレイヤーは包囲された。

汚れた精霊と言う金床、そしてプレイヤーを叩き潰そうとするラスタバドのハンマー。
目に見えて人数が減り、いまや橋の上に残っているだけとなった。
皮肉にも、侵攻を阻害してきた地形が、いまプレイヤーをモンスターから守っている。
この地形でなければ、すでにこちらは全滅しているだろう。
誰かがつぶやく。
「なんだか、人数が減ったね・・・」
「気のせいじゃね?www」
「そうだよね?あははw」

僕達は笑いあっていた。この絶望的な状況で。
増援は来ない。なにしろほとんど最奥の場所なのだ。最短でも30分はかかる。
Potは残り少ない。これまでにもかなり使っているのだ。
MPは少ない。もう、MPを回復できる安全な場所なんてどこにもない。

そう、ここは最高だ。僕達はこんな最悪の、絶望的な戦闘がやりたかったんだ。
スタンを喰らって、バカみたいな威力の魔法を受けて、モンスターに集られて、
畜生、畜生、これ絶対無理って言いながら死にたいんだ。

「WIZを内側に入れてやってくれ!」
後方(この言い方もおかしい。なにしろ両方とも前線なのだから。汚れた精霊側前線というべきか)
の前衛二人が、根性で(他に言いようがないので)前線を押し上げ、戦線の整理を図っているのが
見えた。あれはすごい。僕には敵を撃ちながら見ていることしか出来なかった。

そのさらに後ろに、二人の前衛が静止し、エンチャントを掛けていた。
さらに後方のWIZは貴重な空間を利用してメディでMP回復に努めている。
多分最後のMPチャージとなるのだろう。
このメディが最後、もう回復の機会はない。

汚れた精霊側戦線ではついに通常の防御をあきらめ、損害覚悟の二重戦線に切り替えたようだ。
ほとんど会話なしで、(またするだけの余裕もなく)この戦線再編は行われた。

プレイヤーは次々と倒れ、もはや数えるほどしかいない。
誰かが言う。
「落城寸前の攻防戦って、こんな感じなのかな?」

いよいよ戦況はいけない。もはやどこにも「後方」が存在しなくなり、WIZも変身を切り替えた。
後衛も近接戦闘しなくてはならない状況なのだ。
まさに末期、最終局面。破滅はもうそこに見えている。
だが、その破滅はいつ決定したのか?
包囲されたときからか?敵戦力が追加投入されたときからか?

それとも、プレイヤーがDIに侵攻したときからだろうか?

倒しても倒しても減らないモンスターの前に、
僕達は子犬のように無力だ。
しかしそれでも、機械のように敵を処理し、僅かな間隙をぬってMPをB2Sで回復し、
前衛にGHを掛け続ける。

僕達は戦闘機械だった。そして、そのとき、包囲されたプレイヤーは一個の戦闘機械として、
戦闘群体として、躍動する一個の生命として生と死の歓喜を叫び、悲歌を唄っている。

誰もが笑って死んでいく。
当然だ。僕たちは死にたくてここにいるのだから。

「Potがつきました、さようなら」といって死ぬ人がいる。
「モンスターどもに人類の力を見せてやれ!」と言って突入して死ぬ人がいる。
「おつかれーww」とさわやかに死ぬ人がいる。

そして僕は気が付く、先ほどから僕のタゲを剥がし、鬼神のごとく戦っていたDEが、
古い古い知り合いだったことに。
君がいなければ、僕はもう疾うに死者の列に入っていただろう。
でももうお別れだ、PotもMPもない。最後に1度だけGHをかけ、
「すまない、先に逝く」
とだけ言った。

僕は死んだ。

・・・それから程なくしてプレイヤー側は全滅した。

汚れた精霊とラスタバドのモンスター達はせわしなく動き回り、新たな敵を捜し求めているようだったが、もうそこに生きている人間は一人もいなかった。

死者たちは横たわったままお互いの健闘を称え、苦労をねぎらい、そしてまたリスタしていった。

・・・次の闘争のために。無限に闘争の歓喜を味わうために。



夢幻の島包囲戦はプレイヤー側全滅でその幕を閉じた。
しかし、再々突入したプレイヤー側は夢幻の島を程なく制圧し、無限とも思われたモンスターはプレイヤーによって駆逐され尽くした。

・・・だとすれば、本物の怪物は、いったいどちらなのだろう?


仮想楽園

リネージュ。
数学的、社会学的、情報工学的な技術を駆使して構成された、仮想リゾート。
ひとつの社会を形成するべく作られた小さな箱庭。
ここには、小さくとも、形は違えども、世界のすべてがある。
生と死、歓喜、憎悪、絶望、欲望、姦淫、邪悪、そして、かけがえのない狂気。

優しい物語が、冷たい現実の反映であるように、
美しい芸術が、醜悪な欲望の極限であるように、
仮想の楽園は、残酷な世界の縮小再現でしかない。

楽しく見ていた夢が、実は悪夢だったように。
世界に絶望が満ちていても、そこに住む人はそのことに気がつかないように。
小鳥が死の瞬間まで、空を見上げるように。羽ばたく死の影が、小鳥を連れ去るまで。


永遠という名の幻想

僕が、彼女に会えなくなったのは4年前の冬だった。

僕の就職が決まり、もう、接続することが出来なくなったからだ。僕が接続した最後の日、僕と彼女はオレンの北、雪山で狩りをしていた。
僕はその日まで引退を告げることが出来ず、そのことを聞いた彼女は
「早く言ってよ。何か、考えたのに。」
と少し怒っていた。
でも僕は、最後の日こそ、普通に終わりたかった。
本と猫の話をして、他愛もない雑談をしながら狩りをして、最後の瞬間まで笑って、いつも通りに。
最後にさよならを言ったとき、彼女は少し泣きそうだと言った。
僕はもう、感受性というものが砂漠のように乾燥していて、そう、感慨を受けたわけでもなかった。
ただ少し、寂しさを感じたのは事実だけれど。
「落ち着いたら、必ず戻ってきてね。待ってるから。」
最後に彼女はそう言って、僕は約束して、接続を切った。

就職後、もう、ネットに接続する暇もないくらい忙しくて、ほとんどその約束も忘れていた。
年に一度ほど、IRCでかつての仲間と話をするくらい。
彼女も、もう、久しく姿を見ていないという。そうだろうな、と思った。
僕に少し余裕が出来て、またネットに接続できるようになったのは、去年のことだ。

再接続した僕が、最初にしたのは、いるはずのない彼女を捜すことだ。
当然彼女はいない。クランも四散し、知り合いもほとんどいない。手紙は届いた。まだ、キャラクタは存在しているらしい。僕は、復帰のお知らせだけを書いて送った。

復帰して、しばらく時間が経った。知り合いも増えた。Lvも上がり、僕の手は少しだけ伸びた。

しかしそれでも、彼女は現れない。

花は散る。人は死ぬ。時は止まることなく流れ、諸行無常、万物流転のこの世にあって変わらぬものなどない。長い時間の中で、今こそが祝福された休日のわずかな時間であることを人間は忘れ、今がさも永遠に続くかのような錯覚を持つ。

彼女にはもう会えないだろう・・・。僕はそう思いつつ、彼女と最後に歩いた、雪山に行く。
雪山は3年前と少しも変わらず、ただ、狩りをする人の姿だけが絶えていた。
誰もおらず、しんとした雪山で、僕は彼女の幻視を見る。
僕が剣で、彼女が弓。お互いヒールを掛け合うおかしなペアのエルフがいたのだ。
僕は更に思い出す、二人で飼っていた犬のことを。
僕が拾った犬だった。飼い主を捜したが見つからず、僕が飼うことにしたら、彼女は
「名前が気に入ったから、私が飼うわ」
と言って、育て始めたのだ。それ以来、ペアの時はその犬を連れていた。
最後の、その時も。

僕は思う、僕があのとき、悲しみを感じなかったのは、どこかに、戻れば彼女に会える、
その思いがあったのではないか。
また、あの犬を一緒に育てられると思ったのか。
また、本と猫の話が出来るとでも、思っていたのか。
その幻想を抱いた愚かさの代償として、今雪山に一人彷徨する。

今でも僕は、彼女の影を見る。猫の話をしているときに、wisを受けた瞬間に、誰もいない雪原に。
いつか、彼女が、ここに現れるのではないかとのかすかな望みを抱いて。

僕はここにいる。そして、あなたを愛しています。




プロフィール

シュレミール

Author:シュレミール
Lineage Canopusサーバで生きているエルフです
紳士ですが みんなには
変態 と言われています
誤解であることを みんなに伝えたいです


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